未曾有の領域に入った欧米および日本経済、また、低成長に入った中国。資産は投資ではなく、どう守るかが問われています。 ただし、日本円だけで通貨を保有するのもリスクがあり、人民元、ドルの保有も必要です。すでに金融システムが機能マヒを起こし、中央銀行のみがその資金供給先となった今日、金融資本主義は新しい仕組みがないかぎり停止してしまうのではないでしょうか。 また、中国、ベトナムについてもレポートいたします。

金曜日, 2月 19, 2010

米 不可解な公定歩合引き上げ

 日本時間 早朝 (米国東部時間 夕方) FRBは公定歩合を0.5%から0.75%へ引き上げましたが、政策金利は据え置きで 金融引き締めではないとのアナウンスをおこないました。
 一般に公定歩合を上げることは マーケットが年内の政策金利の引き上げを読み取るわけですが、わざわざ金融引き締めではないというコメントは 金融引き締めはできないというメッセージをださざるえない理由があります。 つまり、住宅債券などを保有するFRBは 当面 政策金利をあげることはできず、金融緩和政策を続けるしかないわけです。
 では、なぜ 今回 公定歩合のみをあげたのでしょうか。 今年 TAFなど次々と過去の金融緩和策の期限が来るため、マーケットでは出口政策の期待が高まるのみです。 この公定歩合の変更もその一環かもしれませんが、筆者は政策金利は年内どころか来年も据え置きの状態が続く可能性能が大きいと見ています。
 現在 ユーロ圏の経済危機によりドルへの回帰が続いていますが、緩やかなドル安を継続することがアメリカ経済には快いもので 急激なドル高は 金融危機が高まっていることの裏返しにもなります。
 対外債務を抱えるアメリカですが ドルの発行はいくらでもできるため大量に発行したドルを世界中にばら撒いては回収、ばら撒いては回収することを繰り返してきた2007年以降の通貨政策です。
 しかしながら、欧州、アメリカの金融の覇権争いに ユーロは脱落しそうな気配にあるのが現状であります。
 現在 ドル>円>ユーロ となっていますが、今回の公定歩合引き上げは本当は実態経済が弱いアメリカですが、金融の覇権は渡さないというメッセージかもしれません。
 しかしながら、これが結果的にダウの下落を加速させてしまうことになりかねません。