未曾有の領域に入った欧米および日本経済、また、低成長に入った中国。資産は投資ではなく、どう守るかが問われています。 ただし、日本円だけで通貨を保有するのもリスクがあり、人民元、ドルの保有も必要です。すでに金融システムが機能マヒを起こし、中央銀行のみがその資金供給先となった今日、金融資本主義は新しい仕組みがないかぎり停止してしまうのではないでしょうか。 また、中国、ベトナムについてもレポートいたします。

水曜日, 12月 22, 2010

貿易収支とドル円の関係 と 来年の見通し

 前月の我が国の貿易収支が発表になりましたが、輸出額から輸入額の差である貿易収支は+1,628億円でした。 米国向け輸出は 全体の約16%で2007年通年で22%ありましたので、相対的にその比率は減少、EU向けも16%から12%へ減少しています。(通年と単月度の比較は正確ではありませんが傾向はわかります) 一方、 中国を含むアジアは53%から59%へ増加しています。

 国内生産の輸出企業は ドル、ユーロ、人民元での円高は採算に影響するため今後の円高が経営にインパクトを与えかねませんが、東芝、三菱電機、コマツ、日本電産などのグローバル企業はすでにその対策をとっています。しかしながら、円安時代の2007年までに投資をし生産設備を国内に保有し国内生産にこだわる一部大企業や下請け中心の中小零細企業は動けないの実情です。
 先月行われた企業経営者へ聞いた2011年の見通しでも 適正なドル円レートは 95円という希望的観測がほとんどでした、中には100円と答える経営者もいたのですが、元財務官でいらっしゃる榊原氏のみ70円台と答えていました。 榊原氏は2008年に来年(2009年)はドル円70円と予想していたのですが、90円台の円安に動いた際に撤回されました。榊原氏の今回の予想はそうなりそうです。
 筆者は2009年1月期に貿易収支がマイナスに落ち込みを見て、春頃には円安へとその頃のブログで指摘していますが、半年後には100円まで円安になっています。(参照2008年2月「拡大する貿易赤字」、また、プロのディーラーへ2008年12月には2009年は70円台はないと話していたら、何故だと激論になってしまった記憶があります)

現在、基本的に日米の金利差動向を中心に動くドル円ですが、6ケ月レンジでみていくと経常収支が黒字の場合は半年後その国の通貨は強くなります。FRBのQE3がニュースになる頃にはさらなるドル安円高が続き、ユーロとドルは円に対して安くなるのが来年のシナリオのようです。