未曾有の領域に入った欧米および日本経済、また、低成長に入った中国。資産は投資ではなく、どう守るかが問われています。 ただし、日本円だけで通貨を保有するのもリスクがあり、人民元、ドルの保有も必要です。すでに金融システムが機能マヒを起こし、中央銀行のみがその資金供給先となった今日、金融資本主義は新しい仕組みがないかぎり停止してしまうのではないでしょうか。 また、中国、ベトナムについてもレポートいたします。

木曜日, 5月 28, 2009

世界は曲がっている

 以前 事前にお知らせした デビット・スミック氏の著書「世界は曲がっている」(The World is Curved)の日本語版が徳間書店より刊行されています。
 鋭い分析で 昨年9月 本格的な金融危機を事前に書いた 国際通貨アナリストとしてアメリカでは有名です。日本では年初に日経新聞が紹介したことがありますが、日本語版以前は皆 原書を読んでいましたので、日本語版がでたのは嬉しい限りです。
 日本の失われた10年の金融政策の失政について触れていますが、限りない通貨供給が何を引き起こすかの分析がないのは残念です。 デフレは通貨の毀損は起こしませんが、インフレは通貨の毀損、もしくは、崩落を起こしかねず 通貨経済に精通しているデビット氏の次の著書を待ちたいところです。
 なお、ミセス・ワタナベの影響力について触れているのが興味深いところで、日本の金融資産について暗に触れているわけです。
 まだ、読まれていない方は 早めに読まれることをお薦めします。

月曜日, 5月 25, 2009

長期金利の上昇に懸念?

 景気後退の中 長期金利の上昇に懸念という記事が見受けられるようになっています。一般に景気後退期は長期金利も下がり気味なのですが、3月以降 日米ともに上昇しています。
 ただし、本当に見ないといけないのは短期金利と長期金利との差です。 短期金利は中央銀行がコントロールできる範囲ですが、長期金利はマーケットしだいであるため 日本についていえば量的緩和を超して非伝統的政策といわれる CP買取、社債買取などなんでもありありで 長期金利が上昇するのは当たり前です。 アメリカにおいても インフレ政策をとり かつ FRBの債権 が膨れ上がる中、長期金利が上昇するのもやむ得ません。
 デフレの後に来るのはインフレですが、新興国と先進国の均衡化という観点では 日米欧の先進国がハイパーインフレになる可能性は低いと見ていますが、今後のデフレの後 3-5年後に食料品、生活必需品の値上がりは70年代のオイルショックを思い起こさせるものになる可能性は充分にあります。

火曜日, 5月 19, 2009

明日はGDP速報値の発表

 明日5/20は GDP 速報値の発表です。民間エコノミストの平均でマイナス16.2%のようですが、どうやら09年1-3月期が当面の底ということになりそうです。 この数値に海外マーケット関係者がどう反応するかですが、為替は円安に動くのが常識的です。
 4-6月期は、財投効果もあってプラスに転じるのが政府見通しのようですが、悪材料出尽くしで 緩やかな回復を期待したいところです。さて、09年 IMF見通し-6.2%が正しいのか、-3.1- -3.3% の政府・日銀見通しが正しいのか 4-6月期にかかているような気がしています。

国債の格上げ

 ムーディーズは、国債(円建て)の一段格上げを発表しました。マーケット関係者は首をかしげるだけで、何故今 格上のニュースとなりました。 日本の国債残高 と 今後 減り行く 外貨準備高、国富を考えるとおやと思ったのでが国内関係者です。冷静に考えると 米国国債の金利を見ると 相対的に 国内投資家が買う 日本国国債の方がいいのですが、評価は米国国債の方が上で これでイタリア並というところです。
 今や、格付け機関への信頼性もあてにならずというところでしょうか。

金曜日, 5月 15, 2009

95円割れしたドル円

 本日 5/15 ドル円は95円を割り 94円79銭をつけました。 94円75銭にはサポートラインがあるようですが、アメリカでは 規制により 本日よりショート、ロング 両建禁止が施行されます。この影響が今後どうでるかですが、いずれ日本でも施行されるのではと思われます。ただし、この影響はファンドなどプロのトレードになり、一般の個人には影響はありませんが、マーケットにどういう影響がでてくるか見守りたいと思います。

土曜日, 5月 09, 2009

GDPから見る実態経済

 トヨタは 5/8 09年3月期 4369億円の赤字、10年3月5500億円の赤字見通しを発表しましたが、世界のGDPから分析をしてみましょう。
 IMFの見通し アメリカ GDP 2009年 -3.2% (改定前3月)をベースにすると、日本円で約1400兆円の約193兆円が失われることとなります。
 トヨタは北米販売が半分を占めるため、10年3月期利益減少見通し8000億円中 4000億円以上は北米で占められるわけです そのインパクトの大きさがはかれます。
 一方 日本のGDPは IMF 見通しでは 2009年 -6.2% (政府・日銀見通し -3.3% ― -3.1%)で
09年で約500兆円です。 仮に-5%とすると50兆円が失われることになります。 現在 大手電機メーカー、機械メーカーなどの9年3月期赤字決算および10年3月期赤字決算見通しが それらを物語っています。 
 苦境に陥っている大企業向けには申請ベースで公的支援が発動される予定ですが、欧州もECBが量的緩和(5/7 0.25%の利下げで政策金利を1%)に入っていくため デフレ経済が明けた後のインフレ経済が懸念されています。
 なお、このインフレ経済については別の機会にコメントいたします。

米金融機関のストレステスト

 BOA,CITIなど大手金融機関のストレステストの結果が公表されました。公表前に情報がでていましたので驚くに値はしないのですが、解説が必用なのでコメントします。
 米会計基準は 資産をレベル1(市場で値段がつく株式、債券)、レベル2(市場で値段がつきにくい不動産債券など)、レベル3(市場で値段がつかないデリバティブ商品)の区分けで レベル2,レベル3は決算時に計上しなくてもよいと会計基準の緩和を行っています。つまり、以前の時価会計基準でななく原価会計基準により近い形と変更されています。
 すなわち 資本不足が従来の会計基準では資産査定はできないわけです、必用な資本増強 10社合計 746億ドルは すでに議会が承認している公的資金範囲内というシナリオになっています。
 一方 株式、債券などのレベル1で査定となると 国際決済業務を行っている 日本のメガバンク3行にとっては 死活問題となってきます。 現在の日経平均9200円前後でも 株式評価損を計上せざるをえないところがあるため 自己資本増強を急がざるえません。
 
 以上 新聞等では公表できない内容なので勉強されている読者の方のみ理解いただければ幸いです。

火曜日, 5月 05, 2009

連休中の道路有効活用

 ゴールデンウィーク中に 大渋滞を巻き起こしている ETC 1000円乗り放題 便乗 行楽客 ですが、通常料金との差額は負債として残るため、いずれ国民にのしかかってくる事が心配な種であります。
 連休中に 一般道や一般有料道路 を 走ってみましたが、込んでいないという現象が起きていました。 例えば 国道一号線 ですが 東京から伊豆方面へいく場合 やはり 東名高速、小田原厚木道路を使用するため 大混雑に見舞われます。ところが 国道一号線は 通常の込み具合で また、湘南道路にいたっては ガラガラの状態でした。(ちなみに 上り 5/2 くだり 5/3 の調査です。)
株でも人の行く裏道に花 みたいなことを言いますが、人と同じことを行わないというのが教訓であります。
 なお、失職、残業減、強制無給休暇などで 連休どろこではないという方々が多いというのを忘れてはいけません。

新型インフルエンザにみる各国の対応

 鳥インフルエンザには備えていても豚インフルエンザには備えていなかった各国 すでに新型インフルエンザとしてパンメディック状態となりつつあります。
 一般に 挨拶としてハグ、キッスを行う 北米、南米、欧州 特にラテン系各国では 伝播の速度があっという間という感じがします。 アジアでも 香港では 感染者のメキシコ人が宿泊していたホテル(メトロパーク・ホテル・ワンチャン)は閉鎖 日本人観光客を含む宿泊客・従業員は5/8まで隔離状態となています。なお、このメキシコ人は上海経由で香港へはいったため、中国政府はアエロメヒコ航空のメキシコ便の乗り入れ全面禁止と国家間の対立の様相をみせるまでに至っています。
 WTOによれば 1) キス・抱擁・1m以内の接触 2)食器などを共用する飲食 3)医療現場での診察 などが高リスク接触者 と なり 同一施設、同一交通機関 に乗り合わせた 低リスク接触者 と 区別されています。 今回の中国政府、香港政庁の対応は 過去鳥インフルエンザ SARSの対応で非難された経験に基づき 独自の対応をとったたか、自国内への蔓延への徹底的防止策 をとったものと考えられます。
 いずれしにしても 鳥インフルエンザ パンメディックの予行演習として、食料の備蓄が必須であることが教訓となっています。