未曾有の領域に入った欧米および日本経済、また、低成長に入った中国。資産は投資ではなく、どう守るかが問われています。 ただし、日本円だけで通貨を保有するのもリスクがあり、人民元、ドルの保有も必要です。すでに金融システムが機能マヒを起こし、中央銀行のみがその資金供給先となった今日、金融資本主義は新しい仕組みがないかぎり停止してしまうのではないでしょうか。 また、中国、ベトナムについてもレポートいたします。

金曜日, 1月 30, 2009

禁じ手に踏み込むFRB

FRBははっきりとコメントはしなかったものの、国債の買い入れいんついて否定しませんでした。 巨額の財政投入をすすものの、アメリカ国債の買手は かぎられてきています。アラブ諸国は 原油安、通貨安などでそれどころではなく、また、最大の買手であった中国も慎重です。日本は 貿易黒字から貿易赤字国への転落を目の前に、外貨準備の蓄えを放出すべく おつきあいしそうです。
 最後の買手は 国家ということになりますが、これを継続していきますと 中長期的には 通貨の減衰を意味します。
 現在 ドルの備蓄に励む 金融機関、グローバル企業ですが、ドルの調達が極端にできないため 世界的にドル不足となっており 円以外に対して総じてドル高となっています。

FRB、アメリカ当局は 日本のバブル崩壊後の 金融政策を踏襲するかのごとく デフレ政策に進みだしています。

水曜日, 1月 28, 2009

ワークシェアリングについて

 筆者が以前より提唱していたワークシェアリングについて、産業界で検討を始めているというニュースが賑わっています。ワークシェアリングはドイツをはじめ欧州で以前より取り入れている制度で、週休2日、週休4日など 労働者で雇用を分かち合おうという考え方がベースにあります。
 日本で議論されているのは、賃金抑制が先にありきで経営側が検討するが労働側が難色を示すといった、賃金をベースに検討するため 前に進まないようようです。
 現在、ギリシアで始まった 暴動など政府への抗議運動は、若年層の失業問題が東欧へも拡大しています。
 オバマ大統領の就任演説の中にも「同僚が職を失うようであれば自分の仕事を分けてあげよう」というメッセージがありましたが、日本全体の危機感はいまだ薄いといわざるええません。
(ただし、アメリカにはワークシェアリングという考え方はなく、雇用は調整されるものという考え方が基本です。)

月曜日, 1月 26, 2009

カルロス・ゴーンが語りました

 世界的な需要減に伴う 影響のNo1 自動車業界ですが、カルロス・ゴーンは当分需要は回復せず 自動車業界の再編が必要であると語りました。これは日本の自動車大手3社も含めてのことで、従来の買い替えサイクルは変化してしまうわけですから 当然と言えば当然なのですが、日本人経営者は公の席でいえないようです。
 さて、オバマ政権も推進する電気自動車ですが、先行するのは 日産自動車 と 三菱自動車 です。この2社は ハイブリッド(ガソリン+電池)車で遅れをとたっためか、家庭用電源で充電ができるリチウム電池 搭載の電気自動車を 販売予定です。一方 北米で オバマ政権は アメリカ・メーカーへは開発費の援助を行い、クリーン・エネルギー推進の電気自動車を本気で普及させる予定です。カリフォルニアでは 自動車メーカーの反対を押し切って、排ガス規制の法制化を認可する予定です。カリフォルニアでうまくいけば周辺13州へその対象を広げ、炭素化エネルギー消費の代表 ガソリン自動車の比率を下げていくようです。 トヨタ、ホンダは ハイブリッドでは先行していますが、世界標準がリチウム電池なのかそれ以外になるか見守って 参入するのではないでしょうか。

木曜日, 1月 22, 2009

急激な円高と戻し円安

 昨夜のニューヨーク・マーケット 90円17銭から一気に87円12銭までのドル安円高が起きましたが、今朝 89.56銭まで戻し 本日 1/22は何事もなかったように落ち着いています。
 一説には 90円でオプションのドル売りがいっせいに設定されていたためとのことですが、その後 ドル買いがほとんどなく 一気に 87円台にドルは急落しました。
 本日 発表された貿易収支ですが、貿易黒字 2008年 2.1兆円 と昨年対比 80%減となりました。 アメリカ、EU向けの輸出減と原油価格の高騰がその要因ですが、さらなる輸出減 は続きますが、原油安からくる輸入金額の減少も働きますので 1,2月の貿易収支に要注目です。
 基本的に 為替相場に 貿易収支の影響が働くのは 6ケ月後くらいになります。
87円12銭を割れるのがいつかが注目ですが 82円くらいで止まる可能性もあります。
 基軸通貨としてのドルは比較的 強く 当初いわれたよ うなドル安は 円以外では まだ 見られません。 

水曜日, 1月 21, 2009

オバマ大統領就任式を見て

 オバマ大統領就任式の模様をCNBCで見ていての感想ですが、やはり、マイノリティ、中間層から転落した人々、貧困層向けへのメッセージが込められていました。

「すべての人は平等であり、幸福になれる」 というメッセージは 黒人にとって心に打つものがあります。 また、我々という言葉を数多く使っており、アメリカの最団結を呼びかけたもので これは 「ミーイズム」 から 「アワーイズム」への転換を呼びかけています。 解説をしますと 基本的に黒人社会は 両親・兄弟・親戚 関係を大事にしています。 必ず 子供たちを含めて 登場する オバマは 従来のパートナーだけを同伴する アングロ・サクソンとは異なるライフ・スタイルをアメリカ国民にメッセージしています。 ミーイズムが基本の現代アメリカ社会において 家族の絆を大事にするという 1960年代までは普通であったライフ・スタイルが 現代白人社会に受け入れられるかどうかが 今後 重要なことです。
 また、ルーズベルト大統領就任式で 本人が痛烈にウオール・ストリートを批判したのとは違い、オバマ新大統領は 金融危機に対して具体的に触れることがありませんでした。
 これは オバマ自身 ウオール・ストリートには対立するものではないので、多くの規制をするべきと言っているEU陣営とは違い 規制をしても報酬の制限などゆるやかな規制に留めるものと予想されます。(前回記しましたように、ブレインにはジョージ・ソロス氏が控えています)

火曜日, 1月 20, 2009

フリードマン と デビッド・ビッツ

 「フラットな世界」を出版し持論の市場中心主義経済、グローバル経済を実現させ、また、その崩壊の危機に瀕している フリードマン博士です。一方、ハーバード出身ではなくカレッジ出身ながら 通貨経済に影響力を持つ デビッド・ビッツ氏 が先日 日経新聞でも紹介されました。
 残念ながら、デビッド・ビッツ氏の著書「ワールド・イズ・カーブト」は日本では出版されていませんが、注目の著書です。

 つまり、グロバーリゼーションは世界の隅々まで 浸透しそうだったが、結果、「世界はだまされた」という本です。curveは曲がると言う意味ですが俗語で 「だます」という意味が含まれます。

さて、すでに90才を超えるフリードマン氏ですが、現在の世界経済をどのようにみているかお聞きしたいものです。

ウクライナ ドネスクの市民

 年初よりロシアからの天然ガス供給を止められているウクライナですが、1/20 価格を上げて両国調印の予定のようです。 ロシアとしては 西欧寄りへ走る ウクライナをロシアの影響下に留めたいという力づくの資源外交の成果を国内にアナウンスするでしょう。
 しかしながら、ウクライナの工業都市 ドネスクでは ガスが使えないため、石炭で暖をとる方法を多くの市民がとっています。 ウクライナ経済も危機に瀕しているので、EU圏に入ってユーロ経済圏を目指したいところなのですが、ロシアからの待った にどう対応するかが課題となってきました。

 東欧は 失業問題、通貨危機、不良債務など 今や 欧州の銀行からすると ”火薬庫”となっています。 なお、ウクライナはアイスランドについで昨年の株価が下落した ワースト2の国で、外貨準備も少なく このまま破綻の危険性すらあります。 つまり、西欧銀行からの融資に対して債務不履行がされる可能性があります。
 

月曜日, 1月 19, 2009

明日はオバマ新大統領就任式

 明日 1/20はオバマ大統領の誕生となる宣誓式が開催される日です。
表向き話題になる 大物は サマーズ財務長官、クリントン国務長官などですが、オバマを支えるバックは 外交に長けたブレジンスキーであり、また、国際金融でこの人の右にでる人はいないジョージ・ソロス です。 ブレジンスキーの考えは 今後のアメリカ外交の基本的な姿勢に影響を及ぼしますが、表舞台にでてくるかどうかはわかりません。 ジョージ・ソロスは CDSを時限爆弾と呼んだように 現在の金融危機を熟知している人ですから 金融政策はサマーズというより、ジョージ・ソロスの考えが影響を及ぼしそうです。
 財政投資による雇用創出、中間層の所得減税など ケインズ流経済対策で オバマ期待にわいている1月ですが、流動性の確保のためのドルのばら撒き は一時的な金融危機対策にはなりますが 負債をなくすことにはなりません。事態の深刻さを熟知している ジョージ・ソロスは 頭をいためているのではないでしょうか。
 筆者は CDSが”時限爆弾”ではなく”核爆弾”にならないことをただただ祈りたいです。

木曜日, 1月 15, 2009

ノーテル 破産法申請

 アメリカ 小売業 12月の結果は対前年-2.7% の落ち込み と CITI の証券部門売却に伴う 影響(CNBCより)で金融株が下げて、ダウは大きく下げています。
 一方 ニュースになっていないのですが、ネットーワーク機器 大手 ノーテルの破産法申請です。再建を目指して取締役で決議されたものですが、オバマ時期政権も大手自動車メーカーは救済されても ITなど一般企業は救えません。
 ノーテルの場合 利息支払いの行き詰まりですから 売り上げが急激に落ちる中 キャッシュ・フローがなかったということになります。
 2009年は大型倒産が続きそうです。 ちなみに 昨年 12/11付 アメリカの小売業で 見通しを書いています。
[全米の11月の小売業 売上げ高 対前年比マイナス1.8%といわれていますが、来年の1月以降は大幅マイナスとなりそうです。]

水曜日, 1月 14, 2009

ドル円 急激な円高にはならない理由

 89円-90円 レンジで動いているドル円ですが、市場関係者が予想するほど円高ドル安に進みません。 ダウが下がったら ドル安だったのでが いままでの傾向ですが、貿易収支が影響してドル円 均衡を保っています。
 つまり、景気後退とともに アメリカは 輸出入ともに減少 特に 貿易赤字の額が減っています。一方 日本は 輸出入とも減っていますが 輸出の減少が大きく 両国の貿易収支が ドル円の均衡を保っているわけです。
 年初からの動きを見ていると 当面は 緩やかなドル安円高はありそうですが、87円まで円高になったら 戻しそうです。 
今後は 95円前後のドル高円安と82円台のドル安円高で 動きそうです。

火曜日, 1月 13, 2009

年金基金はいつまで買い続けられるか。

 日本時間 1/13 21:30 日経225 先物指数 CME は 8,285円と大幅安で始まっています。 
先週 オバマ効果で買い上がった 日経225でしたが、オバマ効果は続かなかったようです。
 さて、買っていたのは 年金基金などの運用をまかされた機関投資家である日本勢でしたが、ファンドをはじめとした外人勢は 今後 売りを強めてくるものと予想されます。
 ということは 下がったところを買い支えてきた年金基金にその余裕があるかどうかかどうかです。

CITI 中国事業見直しか?

 スミスバーニーの売却予定など スリム化を進めるCITI グループですが、中国のプライベートバンキング部門を閉鎖する見通しです。これは 富裕層向けのサービスで、個人向けをやめるわけではありません。 中国では 外銀の中ではHSBCがその存在感示していますが、プレミアアカウントは50万元以上の預金残高があればなれますが、日本、香港などの半分の預金が下限です。
 CITIのプライベートバンキング部門は 中国の超富裕層を顧客にしていますので、日本でいうCITI COLDへ誘導していくものと思われます。
 なお、日本では シティバンク銀行 といい 預金保障機構の1000万円+利息の保障対象銀行です。いまや 国営銀行(FRB)ですので 安心な銀行といえるでしょう。

月曜日, 1月 12, 2009

中国経済は世界経済を牽引できるか

 昨年 4兆元の財政投資を発表した中国政府ですが、1/11 温首相は 中国東部を訪問後 中国伊が世界的景気後退の緩和に期待よりも寄与できると声明をだしました。 政治的な意味合いが強いため 中国国内事情を理解しておく必要があります。
 中国経済は GDPの構成が 内需7割、輸出1割、直接投資等2割 の構成で 先般の財政投資は 国内のインフラ 特に 沿岸地区以外の 中国東部地区に投資をしていくものです。 沿岸地区と内陸部との経済格差が存在しているため 内陸部の道路、電気など社会的インフラ整備が中心となっていきます。 輸出産業中心の広州華南地区のシンセン、トウモウは 香港資本がその中心ですが すでに廃業、操業縮小、ベトナム ハノイ地区への工場移転などが進んでいます。
 正式発表はまだですが 中国の12月輸出額対前年同期比 -2.8% というのが現状のようです。
中国内需が伸びることは一部の日本企業の業績に寄与することはあっても 世界経済を牽引できる力はないというのが 筆者の見解です。 

金曜日, 1月 09, 2009

1945年以来のアメリカ 雇用喪失

 アメリカ12月の非農業部門 雇用喪失は 52.4万人と 1945年以来の最悪の数字と 発表されました。 同時に12月の失業率は 7.2% と上昇しています、これは1993年1月以来の悪い数字です。
企業のサバイバルはいまや金融部門から小売・サービス業と拡大しており、政府救済の可能性がない小売・サービス業は 在庫一掃セールをおこなてっも 在庫を抱え 人件費削減で 人員整理が拡大しています。
 いまや 韓国製 32インチ液晶テレビが 4万円台と 日本メーカーも価格を下げて追随するもたちうちできない状況となってきています。 

クリード会社更生法申請

 本日 1/9 クリードは会社更生法を申請し 受理されました。負債総額は 650億円、 12/末 期限の借入金の借り換えができなかったのがその要因です。 1/13 のJ-REIT市場に与える影響は、大きなものになりそうで、J-REIT 主管会社 2社目の破綻となります。 J-REITは 利益を内部留保することができず、利益のほとんどを還元するので投資家にとってはいいのですが、J-REIT主管会社にとっては厳しい状況が続きます。 なお、3月まで 地方銀行が保有するJ-RET の売却が予想されるため J-REITの多くが下がったからと購入するのはリスクが伴います。
 筆頭株主は 外資のいちごアセット ですが、CITI BANK 個人金融部門 担保処分口が 2.3%保有していることが気になります。

木曜日, 1月 08, 2009

ドル円 円安から円高へ転換しています。

 年初より ドル高円安に転じて 1/6 94円64銭をつけていましたが 現在(1/8 午前) 92円40銭-93円レンジで動いています。 ここで 93円を抜けない場合は円高へ向かうと考えられます。 (94円64銭は 100円50銭 と 92.72銭の)レジスタンス 95円42銭にトライできず、今後(94円64銭-87円15銭レンジの)サポート91円77銭および90円01銭が下値の目処となります。
 ただし、さらなるオバマ効果がでてくるようだと 95円をトライにいく可能性がありますので要注意です。
 日銀は 量的緩和を実施すること表明しましたので急激なドル安円高にはならないでしょうが、90円を割ってしまいますと 下値を目指すことになってきます。

ロシアの資源政策の影響

 先週よりロシアは 自国の天然ガスのウクライナへの供給を制限する揺さぶりをかけていますが、東欧諸国の中で一昨日 スロバキアは 原子力発電の準備をする用意があると声明をだしました。 天然ガスとの直接的関係は薄いのですが、自国のエネルギーを確保すえるために 石炭・石油・天然ガスなどの炭素化燃料から 原子力への転換が世界的に進んでいくものと見られます。
 原子力発電では フランスと日本が使用比率が高い国として知られていますが、結果的にエネルギー効率が高い国として来るべき 資源外交で 優位に立つことができます。
 ちなみに、アメリカはスリーマイル島の事故以降 原子力発電は主力ではありませんが、すでに、その再興準備にとりかかっています。 問題は 資源国ロシアですが チュルノブイリ事故でのメルトダウンがあり、また、豊富な石油、天然ガスを武器にした資源外交を周辺諸国へ仕掛けています。

火曜日, 1月 06, 2009

オバマ効果

 年初よりダウは9000ドル回復、1/20に就任するオバマ新大統領の政策期待により まだ 上昇していきそうです。それに伴い ドル円はドル高円安 93円台を保っています。 当面 95円前後までのドル高円安が考えられます。鏡相場である日経225は輸出産業関連を中心に戻していますが、円安の後には新たな円高となりますので要注意です。
 なお、新年度より「通貨経済と新しい資本主義」とテーマを変更させていただきます。なお、内容に大きな変更はございません。

木曜日, 1月 01, 2009

新年より危機感の欠如?

 あけましておめでとうございます。
 新聞・テレビと不況・不況と大合唱していますが、見通しについては大甘としかいわざるえません。人々の価値観の転換期にあるにもかかわらず、従来型の思考でものごとを判断しているようです。

 回復という言葉はここ数年 実感することはないでしょうから、事態は深刻化していくことを覚悟しておく必要があります。 景気は循環するものですが 今回の欧米の金融恐慌は 2009年より産業恐慌へはいっていくので 日本への影響は避けられないわけです。