未曾有の領域に入った欧米および日本経済、また、低成長に入った中国。資産は投資ではなく、どう守るかが問われています。 ただし、日本円だけで通貨を保有するのもリスクがあり、人民元、ドルの保有も必要です。すでに金融システムが機能マヒを起こし、中央銀行のみがその資金供給先となった今日、金融資本主義は新しい仕組みがないかぎり停止してしまうのではないでしょうか。 また、中国、ベトナムについてもレポートいたします。

土曜日, 8月 18, 2007

潮目は変わったN.Y.株式マーケット

 このところ不安定なN.Y.株式市場ですが根底にある課題が見え隠れしてきていますのでまとめてみます。 
 現代の金融資本主義は、N.Y.のみならずロンドン、東京をも連動し、瞬時にマネーが駆け回るため ヘッジファンド、機関投資家による円の急激な為替変動、株式の現金化、株式から債権への避難により、多くの個人投資家はなすすべなく見守るのみとなってしまいます。
 
 N.Y.株式市場は 当面 下落と上昇を繰り返しますが ダウ最高値14,121ドルを超えられるかです。マーケットはすでに9月 FRBによるFF金利0.25%の利下げを読み込んでいるようですが、FF金利の利下げはドル安を誘発するものですから、実施しない場合はダウのもう一段の下落が予想されます。また、実施した場合でも13000ドル台を維持するのが精一杯で、高値を目指すにはさらなるM&Aによるマーケットの創出が継続できるかどうかが鍵となります。

 N.Y.株式市場の影響を一番受けるのは 東京、香港などのアジア市場になりますので、国内株も含めていったん引き上げてしまった資金は保有したままにしておいた方がいいようです。
筆者は先週 N.Y.証券取引所上場の株式を売却しました。 この資金はドルで入金となりますので当面 ドルで保有となります。 

金曜日, 8月 17, 2007

世界同時株安 - メルトダウン - しかし、

昨日8/16 ロンドン、N.Y.市場における 急激な円高ドル安 後、やはり東京市場は 東京株式市場に暴落(メルトダウン)をもたらし 下値のめどが立ちにくくなりました。 アジア市場も下がりましたが、東京市場の下げ率 5.4% は突出しています。 
 日本時間 8/17今夜 FOMCは公定歩合を6.25%から5.75%へ下げると発表、N.Y.株式市場はいったん落ち着きをみせるものと予想されます。
 しかしながら、日本ではもう一段の円高が進行すると、東京株式市場の下げはもうしばらかく収まりそうにありません。 本日 銀座の証券会社の窓口を訪れると、年配の方々が心配そうにボードを眺めていらっしゃいました。 こういう場合は、いったん現金化するのがいいのですが、タイミングを逸した個人投資家の方々が多いのではないかと危惧してしまいます。

一方、円高は輸出企業の為替差損には影響が大きいものですが、日本経済へのメリットも多いので記してみます。
・原油など資源・原材料の輸入価格が低下します。  (ガソリン価格が下がれば実感がわきます)
・円の価値が高まるわけですから、海外旅行へ行けば円の価値を実感できます。

番外編では、個人では実際にはあまりいらっしゃらないと思いますが、
円安時にドルにて借り入れて投資を行った場合、円換算での返済金額が減ります。
 例) 1ドル 120円時に 100,000ドルを借り入れ海外で投資、借り入れ時の総返済額 12,000,000円が 110円になると11,000,000円の返済で済 8.3% 100万円返済が少なくなります。 
日本在住の人のみがメリットを享受できる"逆円キャリートレード"です。

といいつつも、NY市場では ドル円 114円台半ばで推移しています。

NY ダウ 大幅下落 ドル円 一時 112円16銭

 NY 12:30 (日本時間 午前1:30現在) ダウ232ドル安、ドル円は一時 112円98銭をつけた後 113円台半ばで推移しています。 ドル円は ロンドン市場で114円20-30銭で引けた後、NY株式市場の下落とともに 114円台からドル安 一気に一時 112円16銭をつけました。
 1日でのパニック的なドル安円高 水準に ロンドンでは円キャリートレードをしかけていたヘッジファンド、機関投資家の円買い、また、NYでは投信系の円買いが観測されています。
 円ドルは完全に円高ドル安に転じていますので、今後109円台を目指す動きとなってきています。

本日 ドルは円に対してメルトダウンです。 株式市場の低迷は当面続きそうですが、今後は日本経済への円高のメリットも考えたいところです。

木曜日, 8月 16, 2007

ロンドン市場 ドル円 一時113円55銭 ドル安

 8/16 ロンドン市場 115円台で始まった円ドルですが 一気に113円代に突入し 現在 114円台半ばで推移しています。 この水準は2006年7月以来の円高ドル安で、114円台でN.Y.マーケットへ移るものと考えられます。

今月初めより指摘していました115円を超える円高ですが、今後さらにいろいろな影響がでてきます。
日本企業は円売りドル買いをいれているようですが、欧米勢のドル売りの勢いには負けています。また、個人投資家もロンドン市場での瞬時の113-114円台でまったく手が出せない状況のようです。

主な影響
1.輸出企業の業績低下懸念より東京株式市場の冷え込み
2.日銀による8月の0.25%の金利引き上げの難しさ
3.個人投資家のドル資産の含み損 あるいは 一部 投資家による海外投資信託の解約

 現在 日本の新聞では サブプライム問題に起因した信用不安は一時的なものとのコメントが多く、欧米主要銀行が積み増している「貸し倒れ引き当て金」に踏み込んだコメントは見られません。
 株式市場の冷え込みは実態経済悪化の先行指標であり、きたるべき買い場がくるまではじっとしおきましょう。
 ドル円は当面115円プラスマイナス1-2円で推移するものと予想され、ボックス圏での売買を行いましょう。 仮にさらなる円高ドル安が進むようですと 2006年5月の108円98銭を目指すことになるでしょう。


 

水曜日, 8月 15, 2007

下げ止まるか ベトナムVNインデックス

 8/3に900ポイント割れしましたが、8/8以降は900ポイント台を回復しているホーチミン証券取引所です。7月以降 海外金融機関のベトナム株式レポートの影響でベトナム国内投資家が売り、それを海外投資家が買ったようです。
 しかしながら、ブルーチップ銘柄はすでに海外投資家の上限枠の銘柄が多いため下落率が低い銘柄が多いようです。 CII(ホーチミン市インフラ投資社)は、8/15 が既存株主への4対1の34600ドンでの有償増資の権利落ち日で、株価の調整が行われましたが 調整後ストップ高でした。
 一方、FPTは額面10000ドンでの有償増資予定が嫌われているのか下落傾向が止まりません。FPTはIT株として上昇を続けた後、事業多角化を嫌う投資家から売りが続いているようですが、額面増資のよる希薄化が底辺にある問題のようです。 ただし、事業の実態は 現在 携帯電話販売事業の比率が高く ベトナムの"光通信"といえるかもしれません。
 今後 ベトナム外商銀行やベトナム投資開発銀行の大型株のIPOが予定されているため、IPO時には需給懸念による上場株下落の可能性が残されています。

 8/15 不安定なマーケット

 8/15 N.Y.株式市場は 第二四半期好調のWallMartの今後の利益見通し悪化、ホームデポの第二四半期の利益減少など一般消費の悪化が懸念されて 午前 178ドル 下げています。 7月末からのサプライム問題から悪材料には即反応とマーケットは好調とはいえません。一方、円ドルは117円73銭まで円高が進み118円台前半で推移しています。

WallMartといえば世界最大の小売業でDiscount Storeの業態で、普段着、日用品、文具、玩具など必用な品物を買い揃えるお店なので住宅問題との関係はわかりませんが、一方、ホームデポは家具など新規住宅購入の低下に伴う影響がでているものと考えられます。

 米国にでは企業業績向上とともに一般従業員の賃金が上昇しているわけではありませんので、資産価格・株価が下落すると消費マインドの低下は避けられないところです。

 今後のFRBによるコントロールが非常に難しい局面になってきました。
 

土曜日, 8月 11, 2007

円高への転換にご注意を

 8/10 FRB 緊急声明と3回にわたる短期金融市場への資金供給により、N.Y.株式市場はダウ終値は31ドル安で止まりました。 しかしながら、資金供給だけで落ち着きを取り戻さない場合は、FRBが現在の米国のFF金利5.25%から下げるのではという観測がされています。 仮に0.25%下げるという前提にたつと、日銀が8月中に利上げをするのではという観測は遠のくことになります。 

 筆者は ドル建てで資金を借りて投資を行っていますので、米国の金利動向により 今後のスタンスを変える必要性がでてきます。

 米国のサププライム問題から始まった金融不安に対して 金融当局の姿勢により落ち着きを取り戻してほしいところですが、ヘッジファンド、機関投資家 は 損失のカバーの視点で資金をタイムリーに動かしていきますので、個人投資家が太刀打ちできるものではありません。
 円安期待でF.Xや投資信託へ資金を投じている個人投資家は、いったん休止して様子をみるかして円安が反転して円高に転じるのかをどうかを見極めることをお勧めします。

 

金曜日, 8月 10, 2007

欧州・日本・アメリカ当局 信用収縮懸念に対応!

 8/9 欧州中央銀行(ECB)、NY連銀(FRB)、8/10 日銀が相次いで短期金融市場に資金供給を行い、信用収縮懸念に手を打ちました。先週 今週中に米国 サププライム問題による信用不安が落ち着くかどうかをコメントさせていただきましたが、結局 世界中で信用不安による資金の逆流が落ち着かなかったというのが今週の動きです。欧州中央銀行が本日も資金供給を行い、欧州株式市場は 8/10も大幅下落中、N.Y株式市場が落ち着きを取り戻すかどうかに関係者が注目しています。
       ECB                   FRB                日銀 
     948億ユーロ(15兆円)         240億ドル(2.8兆円)      1兆円
     610億5000万ユーロ (9.8兆円)  
上記数字をみると FRBと日銀は歩調を合わせただけで、欧州において信用不安が現実化している事実が読み取れます。
  中央銀行が資金供給するには 短期金融市場に大量に資金を供給し 金利上昇を防ぐ狙いがあります。 信用不安により資金不足に陥った金融機関が資金調達難に陥るのを防ぐわけですが、ECBはその規模が大きく、欧州ではサププライム関係証券に投資をしていた金融機関が苦境に陥っているのが読み取れます。
  しかしながら、アメリカ経済は世界中からの投資によって支えられているので世界経済の問題となています。アメリカ経済に占めるサブプライム問題のGDP比が小さくて問題は限定的とアナウンスされても、米国での住宅価格の下落につながるでのはと心配が本格的になってきそうです。 下落が本格化すれば 資産価格の上昇を背景に拡大する消費に影響を及ぼすのは必至です。
 そのときは 資金の流れが逆流し NY株式当面調整→ ドル安 → 円高 → 日本株式当面調整 → 債権へ という 過剰流動性が一時休止 します。 
 ただし、各国当局は 通貨供給を増やし 資金の流れの逆流を止めようとします。これは結果的にインフレ経済の創出であり、一般投資家は手持ち資産の保全を保つ必要があるわけです。
     

木曜日, 8月 09, 2007

人民元の取得方法は?

昨日に続き 元と円の関係より、今日のテーマは元高傾向の人民元を取得するにはどうするかです。
①中国国内の銀行に口座を開設し円を人民元へ交換し預金する。
②中国不動産を頭金と銀行住宅ローンを人民元にて借り入れ購入する。
③中国に知人がいたら上海A株を買ってもらう。
などがありますが②は中国当局の不動産規制により 2006年7月以降難しくなりました。③はリスクが多く基本的にやめた方がよく、かりに知人がいてもその信用度しだいです。
 結局 ①の方法が確実な方法ということになります。 一度 口座を開設すれば 日本からの送金により 人民元へ交換もできます。 筆者は中国国内のHSBCに口座を開設していますが、今年より規制緩和によりU.S.ドル、円なので外貨であれば海外への送金は可能になっています。
 現在のところ 元の送金は規制によりできませんが、現地へ行けば外貨へ交換して国外へ持ち出す方法はあると聞きます。
 余裕資金があれば それを5年から10年寝かせてみてはいかがでしょうか。

水曜日, 8月 08, 2007

元と円の関係は?

 中国当局が元のバスケット方式による変動相場制に移行してから2年が過ぎましたが、元・円・ドル・香港ドルの関係を調べてみました。(InterBank Rate)

1元 は 2005年7月23日の0.1234ドルから現在 8/8まで 0.1323ドル と 7.2%元高ドル安となっています。一方、元と円の関係では、1元 同13.745円 から 同15.7008円と14%の元高円安となっています。
 これは円の価値低下がドル、元 相対比較で理解できるものです。
また、元と香港ドルの関係では1元 2005年同 0.9593ドルから 2007年同 1.0357ドルへ 7.96% と U.S.ドルにペッグしているのがわかります。
 円と香港ドルの関係では 1円 2005年同 14.3308ドルから2007年同15.1603ドルへ5.7%の元高円安です。
 ちなみに 円 とU.S.ドルは 2005年同 111.35円から2007年同 118.687円とご存知の通り 6.6%の円安ドル高です。
 この2年間 元>U.S.ドル>香港ドル>円の関係であることがわかります。
 円から元へシフトした場合が、一番 パフォーマンスが良いのですが、理論上は100万円を元へ替えておけば142280円の差益がでていたことになります。

月曜日, 8月 06, 2007

豚肉と中国株

今春以降 北京では豚肉の値段が以前に比べて倍近くに値上がりしたと聞きます。
株価上昇 と 豚肉の値上がりの相関関係があるのかどうか疑問に思います。

豚肉値上がりには 伝染病説、飼料 とうもろこしの値上がり、豊かな生活に伴う需要増 さまざまな説がありますが、生産者の生産控えが主たる要因のようです。 需給と供給の関係でいえば供給不足で価格が上昇したと考えられますが、現在 北京では1kgあたり 小売で26元前後(410円前後)だそうです。
  一方 中国国内の株価上昇は 過剰流動性により中国国内であふれている元が株へ向かったものです。 人々が豚肉を控えれば 豚肉の価格は落ち着くのですが、株に熱狂する市民が株をやめないように食生活に必需品である豚肉を食べることをやめる人はいません。 ただし、生産量が回復したらいずれ豚肉は下落しそうな気配です。 株は基本的には豚肉と違いますが 上海A株は流動性が低く 熱狂している間は下がる気配は見せません。
 本日6日 上海A株は4600台で高値更新、一方 香港H株は12266ポイントと約4%値下がりしました。
 六本木の中華料理店の店長がよく、日本のお客は「チンジャオロース」と「チンジャオニューロース」のことわかてないよと言っていたのを思い出します。ロースは豚肉、ニューロースは牛肉なのですが、お客が牛肉のチンジャオニューロースを食べたいのにチンジャオロースと注文をし、そのまま注文を通すと 料理をだしてからこれは違うと言うお客が多いそうです。
 中国株式と思っても N.Y.株式市場に連動しているのが 香港H株式市場だということでしょうか。閉鎖されたマーケットの上海A株と開放されている香港H株の動向に注目したいところです。
 

土曜日, 8月 04, 2007

適切な調整を続けるベトナム株式市場

 ベトナム VN-Indexは8/3 900ポイント割れ 892.88ポイントで引けました。昨年8月が400ポイント台でしたので 5月下旬以降から今後9月頃までは下落傾向が続きそうです。
 ベトナム国内個人投資家はPERなど参考にしていませんので皆が売れば売り、買えば買いということのようです。一方 外国人購入枠いっぱいの銘柄ではBT6,TYAは下がらず、CII,GIL,IFS,REE,STB,TMSは下落していますので、国内投資家が売っていることがうかがえます。
  最近のIPOの落札価格を見ても PERからも2-3年後の予想PERなら買ってもいいかなとう水準で、6月の大型株のVaoViet保険は70000ドン台が平均落札価格でしたが、50000ドン台までが適正としていた海外機関投資家は入札では40000-55000ドンで入札し購入は見送った形となっています。
  現在のベトナム株 調整は今後 正しい株価形成を行ううえで重要で、今後続くIPOで適正な入札価格をもたらしてくれることを期待しています。 
 なお、IPO情報に関して、SSI証券担当者の情報は的確で当初の予想よりレベルが高いと思われます。

くすぶり続けるN.Y.マーケット

調整を続けるN.Y.株式市場ですが 8/3 281ドルの下落で引けました。サブプライム問題の信用不安から全面安となりましした。一方、ドル円は119円台から始まり一時117円95銭まで円高ドル安となり、118円10銭前後で引けました。
 N.Y.株安でドル安という流れは、8/6の日本のマーケットで日本株安で円高という流れに引き継がれそうです。 海外勢の日本株売りはまだ続きそうですが 来週中には一段落するかどうかです。
 なお、円ドルは5ケ月ぶりの115円台へ向かうかどうかですが、115円台は日本の個人投資家による円売りや輸出企業によるドル買い予約をうこなう水準でもあります。ただし、ヘッジファンドなどの海外勢が仕掛けて115円を超えた円高水準となりますと本格的な円安の流れの見直し検討となります。
 株はお休み、円高傾向でFX に集中です、 なお、私の中国の友人は中国株は危険水準であると警告しています。