未曾有の領域に入った欧米および日本経済、また、低成長に入った中国。資産は投資ではなく、どう守るかが問われています。 ただし、日本円だけで通貨を保有するのもリスクがあり、人民元、ドルの保有も必要です。すでに金融システムが機能マヒを起こし、中央銀行のみがその資金供給先となった今日、金融資本主義は新しい仕組みがないかぎり停止してしまうのではないでしょうか。 また、中国、ベトナムについてもレポートいたします。

水曜日, 2月 25, 2009

拡大する貿易赤字

 1月の貿易赤字は9526億円と過去最高と発表となりました。 昨年より貿易赤字が拡大しているわけですが、輸出の大幅落ち込みと輸入の減少より過去最高となっていますが、今後 貿易赤字額はさらに更新されていくでしょう。
 日本のGDP510兆円の約16%を占める輸出ですが、金額ベースで約82兆円を占めます。輸出額の1月度の減少が3兆4826億円(対前年比-47.4%)となりますので 輸出額が年間額の4.2%が減少したとい驚異的な数字となっています。 昨年10-12月期以降の貿易赤字は、自動車、エレクトニクス、半導体と総崩れ状態に起因しているわけですが、輸出の減少は2006年度から始まったものであることが気付かれていません。
 新聞、テレビなどで95円を超えたドル円の円安の要因についていろいろ論議されるでしょうが、テクニカル的には100円50銭にレジスタンスがあります。もし、このレンジを越えてくるようだと当面の円高は一息ついたという判断となります。 これを抜けることがなければ 95円-100円のレンジ相場となるかもしれません。 3月決算を向かえる輸出企業にとって、ドル円は100円前後が心地よい水準であるわけです。

金曜日, 2月 20, 2009

機能していない資本市場

 企業の資金調達は、直接金融のひとつである社債の発行がその有効手段ですが、昨年12月初旬に製造業で実施した後は、電力会社にとどまっています。 つまり、引き受け手(機関投資家)がいないわけです。 昨年11月以降 大企業の中でも優良企業を中心に 銀行借り入れで手元流動性を確保しましたが、今後 一部の企業では個人を対象にした社債の発行が行われます。
 一方 中小企業は公的機関からの借入れを行う、信用保証枠を拡げるなど資金繰りに苦労するばかりです。 先日 日本の伝統あるアパレル・メーカーが破産宣告されましたが、大手企業、金融機関は救済されても、一般中堅企業は自らサバイバルするしかありません。

HSBCグリーン会長

HSBC Holidingsのグリーン会長は、1月のダボス会議の年次総会の席上 講演を行いましたが、深刻な状態について述べております。
  「現在の金融危機は、私が銀行家になってからの25年間で最も深刻なものであり、おそらく1930年代の金融危機以来最悪のものでしょう。名だたる有名企業の中でもごく少数の企業しかこの危機を無傷で潜り抜けることができず、全ての銀行、金融機関、政府、監督機関、そして個人消費者としての私たちの一人ひとりが学ぶべき教訓があります。」
 英全銀会長でもある グリーン氏はBIS基準の見直しなど根本的な見直しを含めた、新しい金融システム制度の確立を提言しています。 4月のG20での議題にもなるわけですが、すでに現行金融システムがいつまで持つかが最大の問題となっているわけです。

火曜日, 2月 17, 2009

変化する価値観

 GDPの速報も予定通り 13%を切るような発表となり、今後 確定値で調整するのでしょうが。 一般には、昨日 2/17 その数値に大騒ぎになたようです。
日本のGDPはこの十年 500兆円強で変わらないのですが、輸出比率は 11%(1997年)から16%(2007年)に上がっています。結局、日本経済は 外需だのみで救われたとうことです。 輸出比率の国別内訳を見ますと、アメリカ 22% 、中国 17%、EU 16%、ASEAN 14%となっています。 アメリカ、EUが回復する見込みがない中、中国という期待もあるようですが 日本からの中国への輸出は 中国が輸出するための部品、部材も多いため 自動車、エレクトロニクスなどの輸出産業は 抜本的な構造改革が必要です。
 大企業にいたっては その肥大化した生産設備の廃棄、人件費の大幅な見直しを含めた ものとなります。 やはり 付加価値をもった企業が生き残りますが、日本には技術力をもった企業があるのが強みでもあります。ロシアが資源外交で近寄ってきているのもこの技術力にあります。
 マーケットの価値観も変化しているため、本当に価値あるもののみにお金を払うというのが 消費者心理でいずれ生き方そのものが変化していくでしょう。

金曜日, 2月 13, 2009

マクドナルドが価格戦略の見直し

 一般消費市場も 消費者の財布の紐は固く締めはじめてきたため、小売各社は 価格戦略の見直しに入り始めています。
 まず、マクドナルドは 通常 120円のポーク・バーガーを100円に値下げし 消費者の動向を見ようとしています。 また、回転すしの大手 あきんどずし は期間限定で 100円を90円に値下げします。

 このような値下げ傾向は デフレ経済の特徴で、日本はバブル崩壊後のデフレ経済ですでに経験済みのことです。 今回は前回より深刻です。今後 企業は液晶テレビなどのエレクトロニクス家電では、在庫一掃セールなど積み重なる在庫を掃いていく戦略をとらざるえなくなってくるでしょう。

 ハンバーガーだとマクドナルド、コンビニだとセブン・イレブン、スーパーだとイトーヨーカードなどリーダー企業が取る戦略に2番手企業は追随、3番手の企業は付加価値戦略をとるのが一般的でしたが、
今回はサバイバルをかけた競争となりそうです。 一昔前だと"共存共生"が日本社会の基本でしたが、その言葉も忘れ去られてしまったようです。

 

火曜日, 2月 10, 2009

GDP速報値

 2008年第三四半期(10-12月期)実質GDPは 2/16の週 内閣府より発表予定ですが、対前期比 -3%、対前年同期比-13% になりそうです。 輸出の急速な落ち込み、機械受注減などその要因をあげればいろいろありますが、マーケットは今週 折込済みとなるでしょう。
 問題は 第四半期(1-3月期) であり、企業倒産数 1月だけで1,360件と昨年比16%増と増え続けています。 輸出減に加え、内需の落ち込みがでてくるとGDPのマイナスが驚異的になってしまいます。  今後資金売り上 3月決算を乗り越えられない企業が、増えそうですが 手元流動性の確保が企業のサバイバル上 最重要課題であることは いうまでもありません。
 個人もキャッシュ・アウトを控えあらゆる事態に備えなければなりません。

燃料サーチャージの大幅値下げ

 日本航空は4月からの燃料サーチャージを大幅値下げすることを発表しました。全日空も続くものと思われますが、すでに原油40ドル前後なので 当然といえば当然なのです。 実際のところ、シンガポール原油基準に3ケ月毎に決められるので反映は遅れ気味はいたしかたないことです。
 一方、金融危機と景気後退に伴う国際線の顧客減少は 航空会社にとってサバイバルをかけてコストダウンするしか生き残る道はなさそうです。全般にいえますのは、徹底的にキャッシュ・アウトを防ぐ企業は生き残れる企業といえそうです。
 いずれにして、北米まで数万円だったサーチャージが数千円ですので 日本の海外渡航観光客にとっては朗報といえそうです。

土曜日, 2月 07, 2009

米国債増発のおおいなる懸念

 来週 2/9の週は米国国債が発行が予定されています。総額 670億ドルにおよびますが、財政投入のためにも全て入札させていところですが、残もFRBが購入すれば 完了という運びのようです。
 しかしながら、1月 雇用統計の驚異的な悪化に伴い 国債のCDS指数 85.7ポイント(5年もの)になりました。 いわゆるクレジット・リスクです。
  一方 10年もの国債の利回りは 2.99%と いよいよ3%台にはいっていくいうです。 3%台後半になり、短期金利との差がでるようだと マーケット関係者が警戒体制に入ります。
 なお、このような分析は新聞・テレビでは報道されませんので、企業経営者、個人投資家は アメリカの長期金利を見ておくのがよいでしょう。
 ここで日本との違いは 国債を増発しても まだ 日本は外貨準備高を保有しているため クレジット・リスクは高まりませんが、アメリカは 機軸通貨国であるため ドルをどんどん刷ることができ デフレに陥っている状況から、通貨供給量が限界点を超えると突然インフレへ向かっていくことが危険視されています。(あるいは 当局がインフレを起こそうとしている可能性もあります)

金曜日, 2月 06, 2009

トヨタの決算見込み修正

 本日 2/6 東京株式市場 終了後に発表された トヨタの今期決算見込み 修正 ですが、フィナンシャル・タイムス が大きく報じています。
 タイトルは、「Toyota sees wider losses as sales slid. Carmaker expects ¥450BM operating loss.」
トヨタは今週 ムーデ゙ィーズのAAA評価からランクを下げましたが、今 自動車業界で起きていることは 市場が当面回復しないというマーケットにおいて、巨大なトヨタですら 生き残りをかけて 過剰設備、過剰人員の早急な見直しをしないといけないということです。 12月から指摘していますように 世界の消費者マインドは変化しており 必要ないものは買わない という姿勢です。

 今後 国内工場の集約および海外移転、最終的には 海外全面移転をせざるえなくなるのはないでしょうか。 

 週明けの 2/9の東京市場は 荒れるかもしれません。

円建て分配確保型ファンド

 シュロッダー証券投資顧問が 販売している「円建て分配確保型ファンド」を紹介します。 予定では1年後 10%(予定、税引き前)の分配金、2,3年後 毎四半期 年率 0.5%(予定、税引き前) の分配金がもらえる予定のファウンドです。
 仕組みは 円100万円以上10万円単位で購入し、米ドル、ユーロ、豪ドルへ投資します。つまり、円で購入 外貨売りです。 ただし、為替が償還水準レベルから一度でも-40%を割れると 早期償還となり損失が発生します。つまり、早期償還時の為替レートで円に交換され 元金が返却されます。

 セリング・トークは、1$=90円前後から -40% 54円にはならないでしょう、1ユーロ=115円から69円にはならいでしょう のようです。 しかしながら、その可能性がないとは誰もいえないわけで、可能性があるためこのような商品が設定されているのだと 筆者は考えます。

 高い利率にのみ 注目して 購入するのは危険かもしれません。

月曜日, 2月 02, 2009

ベトナム 基準金利を1.5%下げる

 ベトナム当局は 基準金利を8.5%から7.0%へ下げ 即日 実施しました。
12月に続き の利下げとなります。
 ベトナム経済は 世界的な金融危機の中 経済成長を保っていますが、物価が高騰したというのが印象です。 消費者物価指数は現在 一桁台の上昇と落ち着いており、また、農業国・資源国・国民が若いとうのが強みでもあります。
 リテールバンクとしてのHSBCはベトナムを戦略的な 国と位置づけ 支店網の拡充を開始しております。また、国内の銀行はデリバティブ金融商品を保有することもなく、落ち着いた状態です。